驚異の老師

2014/11/21

Yamazaru君は、学生時代合気道をやっておりました。
日本古武術の集大成が、合気道であり、大東流合気柔術であることは、疑う余地はありませんが、合気道の根幹となるのが、呼吸力、大東流では、合気という技法です。

柔道では、相手を崩す時は、足を払う、引っ張る、意表を突く、抱き着く等の技法が多く使われているような気がしますが、合気道においては、特に屈筋を使うことは殆どなく、また、関節技というものも殆どありません。
呼吸力という力で相手を崩します。そして、この呼吸力を養成するための稽古が、合気道の技ということを教わっています。
呼吸力を体得すれば、もはや型というものは、必要としないようです。

そして、合気道では、試合が存在しない為、スピードや、力を競うわけでもありません。では、何を目的とするのかは、個人個人違うようですが、自分なりに解釈すれば、宇宙と一つになること(植芝盛平 開祖)で、その為には、呼吸力を身に付けることです。ある老師は、呼吸力とは、相手にとらわれない力だとも、相手を誘導する力だとも、体すべての力を一点に集中させることだとも、色々言われます。

呼吸力を知らない自分は、ただ、その不思議な世界の一端でいい、感じてみたい。そんなことを思いつつ学生時代を過ごしました。呼吸力を持った老師達は、もはや自由自在の境地です。いかなる力技を持ってしても、叶いません。

ここで、紹介したい二人の師範(老師)です。紛れもない達人であり、自在の境地を持っておられます。一人目の老師は、多田宏師範です。

自分が、学生の頃確か、70才近いとか仰っておりましたので、今は、85才位なのかなー。なんてふと思って調べた所とんでもないことが分かりました。
多田先生の講習会は、4度位受けたでしょうか、専属の受けも2度程務めさせて頂き、その半端ない呼吸力には、圧倒されたものです。

眼光鋭く、まさに鷹の目を思わせる、カッコイイ老師です。
ウィキペディアで調べると、1929.12.14生まれですから、現在84才、もうじき85才を迎えられます。この事実には驚愕でした。今から2年ほど前のyoutubeでの、演武が存在しています。おそらく、御年83才位ではないでしょうか。

どのように生きれば、このようなお姿になれるのでしょうか。世界は広しといえど、このような老齢を感じない老師は殆どいらっしゃらないでしょう。それどころか、若い者より速い動き、完全に驚愕の事実です。

次に、ご紹介したいのは、遠藤征四郎師範です。自分は、学生の頃、合気会本部道場に合宿に行ったことがあります。その時は、まだ、インターネットも無く、情報が分かりませんでしたので、合気会の師範への先入観は有りません。

そして、遠藤師範の講習の時間の時に、どのような握り方をしてきても構わない。握って来なさいということで、何人もの学生が、意地悪をして握って行きました。

ある者は、揺すぶって握ったり、ある者は、引っ張って持って行ったり、ある者は、押して持って行ったりと様々です。

さあ、自分の番になりました。自分は、断固踏ん張って、脇を思い切り締めて、持っていき、そこで師範が失敗したなら、後ろに回り込んでバックドロップを決めてやろうと本気で手を握りに行きました。

遠藤師範の動きがやはり、ピタット止まりました。これは、締めたぞ、化けの皮を剥がしてやると思いました。その瞬間、師範の手の甲が自分の顔面の上へ。。そして、思い切り畳に投げつけられました。

当然、口の中が切れました。すると、遠藤師範は、立て続けに持って来いと自分に指さされ、これでもかと言わんばかりに徹底的に投げつけられました。
武術家とは、やはり恐ろしいもんだと感じました。

下のYoutubeは、分かりやすく解説されていますが、実際はとんでもない、威力があることを理解して頂きたいと思います。そして、簡単には真似ができません。合気道の技とは、理論では体得出来ませんし、剛力やスピードに頼っても、それはかえって邪魔なものとなるようです。

この老師もまた、1942年生まれですから、72才になられます。

いかがでしょうか。理論理屈抜きに、合気道という武術にて、その高みに達すると同時に、老齢を感じされない、そして、何者にもとらわれない、自然に動ける体作り、もはや、常人の域を超えていると感じる筈です。

老齢になっても、70才を超えても、鍛えればムキムキの筋肉マンになるという言葉がありますが、この言葉は、96才で亡くなられる寸前まで道場で稽古された、大東流合気柔術の稀代の名人 佐川幸義師範の言葉です。

人間誰しも、もう遅いと思った時に、成長は止まります。これからどんどん色んなことにトライできるチャンスだと思えば、成長できると感じます。
この2人の老師のyoutubeを見て、改めて感じました。

これからの、長い人生、楽しんで、楽しんで、楽しみまくります。